もう何十年も昔の話になりますが。
たえさんは就職活動中、地元でも大きな書店への就職を希望しました。
が、しかし。
なぜか両親から猛烈な反対を受けたんですね……。なぜなのか。
それは、
「腰を痛める!」
という理由。うちの両親はこれ一点張りでしたね。
いや、本屋よ? なんで腰痛めるの?
と、ピッチピチに若かりし頃の超能天気なたえさんはそう思っていたのですが……なるほど(笑)
現在、書店員として働いている(パートだけどね)たえさんが実際に経験して思った見解をお話しましょう。
たえさんは、書店員ということに誇りを持っています✨
この記事を読んでもらいたい人
- これから書店勤めを始めようと思っている人
- リアルな書店員の仕事を知りたい人
書店員=腰痛のイメージを持っている人にも
書店員の仕事とは?
昔のドラマや映画、漫画などに描かれている本屋さんて、なんていうかこう、立読みしている人に近づいて、パタパタとはたきをはたいて追い払うイメージが強いたえさんです(笑)
今はそんなことないですけどね(笑)
ただ、のんびりとおじいちゃんとかおばあちゃんがレジに座っているイメージが強かったのは確かです。
なんでだろ。
たぶん、自分が通っていた商店街の中の、個人経営の書店イメージだと思います。
搬入-店内に本を運び入れます
まず、開店前に「搬入」という仕事があります。
言葉そのまま、本を搬入するんです。
運送会社さんがたくさんダンボールを運んできてくれます。
中には、本や雑誌がぎっしりですよ。
それらを手分けして、それぞれのジャンル棚に振り分けていきます。
もちろん、その際にはリストを元に、ちゃんと伝票と数があっているかのチェックも必要です。
この搬入という作業、当店では運送会社が来る前に扉を開錠していますから、運送会社のおじちゃんが中まで運んでくれます。
ありがたや✨
開錠が遅れると、入口前に山積みされちゃってる場合もあるので、そんな時は自力で運びます。
台車様、ありがとうございます! の世界です。
台車に積み込む作業は危険ポイントです。グッと力入れちゃいますからね。ただ、それさえクリアすれば、あとはもう台車様様ですよ。
はい。まず最初の腰痛ポイントです。
伝票処理
搬入作業でチェックした伝票は、当店ではパソコンにデータを残しております。
そちらに入力する作業もありますが、これはいつでもいいので、時間の空いた人がやってます。
掃除とレジ&釣銭の用意
開店時間が近くなると、手の空いた人から、簡単な店舗周りの掃除をします。
草なんか生えていると、あまりよくありませんし、駐車場にゴミが落ちていないかもチェックです。
少しでも気持ちよく、ご来店いただければと思っています。
その間、レジ担当の人が、レジのオープン準備に入ります。
前日に用意して、めっちゃ頑丈な金庫に入れておいた釣銭を用意し、レジにセット。
その際には、きちんと釣銭表と枚数などが違っていないかもチェックが必要です。
このあたりは、大変ではなさそうですね。
金額が合わないなどの突発的事故
これらはたいてい、前の日の夜に釣銭を用意した方々のミスとなります。
金額が違うってうのは、ほぼ無いですけどね。これが合っていないと、前日の売り上げにも誤差がでてしまうからです。
当店であった他の突発的事故は、パートさんが金庫に入れずに、そのままカウンター下に置きっぱなしになっていた、というもの。
これは危険!
確かに店にはセキュリティーをかけますが、もし何かあった時に一番に持っていかれちゃいますもんね。
この時はみんな、冷や汗をかいてしまいましたよ。
ちなみに、強盗さんにレジを壊されないように、レジの扉も開いたまま閉店します。
接客-これがおそらくメイン
もうこれは、基本中の基本ですよね。
お会計レジ
当店では、必ず一人レジに入っていなければならないという決まりがあります。
すぐにお客様に対して対応できるように、と、やはりレジは金銭のかかわる場所ですから、人がいないと不安ですよね。
本当に基本的な接客で、何も難しいことはないと思いますが、最近は多種多様な支払い方法があります。
現金だけではなく、クレジット、ペイペイなどのバーコード類、図書カードや商品券。
それらはそれぞれに処理する方法や機器が違う場合がありますので、それらを覚えるのが少し大変かな。
慣れればどうってことありません✨
ただ、中には「現金のみでしかいけない」だとかいうものもあるので(例えば図書カードの販売など)、そこは把握しておかなければなりませんね。
お客様がお持ちくださった本を見て「えっ、これの新刊出てたの!?」となり、情報を得ることもあるので、ありがたい仕事です。
本を「探す」という仕事
これがね、結構多いんですよ。
お客様から本を尋ねられるという仕事です。
当店の場合は、店内にある書籍に在庫がないかだとか、他の支店にないかなどの検索ができます。
なかった場合は、中継ぎに利用しているサイトに申し込むこともできますし、直接出版社に問い合わせすることもできます。
それらを含めて、お客様から尋ねられた一冊を、一生懸命探し出し、なんとかお客様の手に渡るようにするわけです。
正式には、国際標準図書番号(International Standard Book Number)
その一冊の本を管理しているナンバーと言えるものです。
世界基準のものですから、国ごとのナンバーが頭につきます。
日本は、「9784」から始まっています。
下の画像でいうと、二つバーコードがありますが、上側のバーコードの数字部分ですね。
よく見ると、そのバーコードの左上に、「ISBN」と書かれた番号もあります。
こちらと、このバーコードの番号が同じなのが確認できますね。
こちらは、ネットなどで本を検索すると、たいていデータとして確認できます。
贈答品のラッピング
こちらはクリスマスの時期に特に多くなりますね。
お子様向けや大人の方向けなど、当店では様々なラッピング用紙を用意しています。
こちらもレジの仕事ですが、お会計のお客様が多い場合は、すぐさま他の店員を呼んで手伝ってもらうことができます。
これは、さっきの検索の時も同じですね。
そうやって、メインのレジはみんなの協力で守られているといっても過言ではありません。
当店ではあらかじめ、小さな紙袋のようなものを作り、入れてすぐにリボンをかけられるようにしています。時短時短。
本出し、本抜き
本出しとは
朝一番に搬入されてきた本とは別に、追加で出版社から送ってきたものや、補充すべくこちらから注文した本などは、別便で届く場合があります。
こちらを棚に入れていく作業です。
新刊だと、新刊コーナーにどさっと置けばいいのですが、補充などの場合は、まずその本が置かれている場所を探すところから始まります。
さらには、その棚がパンパンだと、隙間を作らなければなりません。
そのために、次の項目です。
新人さんなんかは、この作業で本の場所を把握していきます。
本抜きとは
パンパンになった棚に文庫を一冊入れるために、何冊かの「状況」を確認して、あまりにも動いていない本から、返品することを言います。
パソコンでその本の「状況」を確認すると、いつ頃入ってきたのか、どれだけ売れたのか、などとわかります。
数年前に入ってきていて、一冊も売れていないだとか。そういう本は返品対象となりますので、そんな一冊を探して隙間を作るわけです。
本抜きの他には、「雑誌抜き」というものもあります。
こちらは、翌日が発売で入荷してくる、という本を前の日の夜に引き抜いておくというもの。
朝はかなりバタバタしますので、そうやって事前にスペースを空けておいてあげると、朝の人達が助かりますもんね。
チェックしていると、意外な本の売れ行きが良い、なども確認できて面白いです。
本の整理-基本中の基本
これは基本中の基本なのですが、店内をグルグルして本の整理をするのも大切な仕事です。
棚の中に抜けがあったり(本が数冊抜けてしまって、隙間があること)、平台に置かれている本がぐちゃぐちゃになっていたり。
よくあることです。
時には、破損してしまっている本も見つけてしまうことが……。
お子様向けの見本誌などが特にその被害(笑)にあってしまうので、それを見つけては、少し直してみたりもして。
当店は広い面積を持っているので、ちょっとしたウォーキングにもなります💦
たえさんは個人的に、新しく入ってきた本などを確認できるので、大好きなお仕事です♪
返品作業
さて。たえさんが思うに、この返品作業が、もしかしたら一番腰を痛める要素になっているのではないかな、と思います。
いやまてよ。もう一つ強烈なのがあったな……。それは後述で!
まずはこの返品という作業ですが。これがなかなか大変です。
返品される本には、さまざまな理由があります。それは店長しかわからなかったり、決まったルールがあったりといろいろ過ぎるので、割愛(笑)
とにかく、一週間に何度か、返品する本をダンボールに詰めて、荷崩れしないようにガチガチに梱包し、台車の上に積み上げていくのです。
ダンボールに本を詰め込むまではいいのですが、それを梱包して台車に積み込む時が危険!
まだね、軽い雑誌のようなものとか、案外コミックなんかも詰め込んだものが軽いんですよ。
でもね、女性向けのファッション誌や、図鑑なんかがあったら、もうその時点で
「ひーー💦」
って心の悲鳴を上げてます。
こやつらが、とにかく、重い! めちゃくちゃ重い!
ですから、たえさんは図鑑などは少量をまずいれて、残りは軽いものを詰め込むなどのちょっとした工夫をしています。
自分の腰への負担もそうですが、それを取りに来てトラックに積み込む配送屋さんの腰も心配ですしね。
ダンボール数個の返品は楽勝ですが、時には十個近く作る事もあり、それはもう、地獄です……。
レジ締め作業
さて。いよいよ、店も閉店の時間がやってきます。
釣銭用意
その少し前から、レジの人は釣銭を準備します。
明日の朝一で、レジの中にお金がないなんて、そんなことはあってはなりませんからね。
お客様が常に、定価通りの金額を用意して下さるわけではないのです。
釣り、というものが発生するのが常なのですから。
さて、釣銭の金額は、常に決まっています。
週末や長いお休みの前には、少々増えたりもしますが、基本的には決まっています。
その金額分の、お札や小銭を、上手に配分しておくのです。
例えば、一円玉って結構必要なんですよね。だから多めにだとか。
お札で言うと、五千円札って、意外とお客様から入ってこないし、逆に出ていくことの方が多いのでたくさん取っておくだとか。
そんな感じです。
それらをまとめたら、次はレジチェックです。
休みの時は銀行もお休みですから、後から両替できないのが難点。
売り上げチェック&伝票用意
閉店までに、それらを済ませておくのが理想です。
店によっては傾向が違うかもしれませんので、このあたりはあまり参考にならないかもですね。
当店では、そんな感じなんです。
本社に提出するための伝票やら書類やらを完成させて、最後に売り上げに誤差がないかをチェック。
こちらに誤差があったら、徹底的にその誤差を突き止めます。
たいていは、釣銭の数え間違いだとか、そういったことが多いですね。
売り上げが大きい時に、誤差がなかったら、「やったー✨」って気持ちになります(笑)
その他もろもろ
本屋さんの仕事は、上記だけでは決してないんですよね。
他にもたくさんたくさんあります。細かなことが!
社員さんにしかわからない仕事もありますしね。←いつも社員さんはバタバタしてる
私はパートなので、まだ比較的余裕があるように思います。
また、朝から夕方まで、そして夕方から閉店までも、少し仕事の内容が違うように感じています。
とちらが楽かといえば、夜部門でしょう。
昼間はお客様も多いですしね。
どちらにしろ、連携をとる事かとても大切です。
最大の腰痛ポイント・棚卸しの恐怖
当店では年に一度。
棚卸し
という、スーパー化け物的なお仕事があります。
えっとね。これがね。キツイ!!
いや、本屋なんて、並んでる本をチェックするだけなんだから、他所に比べたら楽勝なんじゃない?
なんて思わないでください……。
本屋もかなり、かなりっ、きついんです!😱
これが数日続くので、余計に腰に響きます。
一冊一冊のバーコードを読み取っていく
専用の機器を使い、とにかく店内にある、ありとあらゆる本の裏についている、バーコード(ISBNコード)を読み取っていきます。
この期間は、店内のあちらこちらから、読み取る際の「ピッ」という音が鳴り響いています。
そして、夕方頃には、みんなゾンビみたいな顔をしています😱
ここが最大の腰痛ポイント! とにかく、中腰状態が続くので、腰への負担が販売ないのです!
あとは、腕も筋肉痛になりますね。ずっと上がったままですしね。
もっとも、このあたりはどこのお店も、棚卸しの際に気をつけなければならないポイントではないかと思います。
余談ですが。
同じ本を棚卸しするにしても、文庫コーナーとかはかなりきついです。
同じ形の本が並んでいるから、むしろ楽なのでは? という感じですが、あまりにも単調すぎてきついんです😭
それはコミックにも言えますね。
様々な形態の本が並んでいる方が、まだバラエティに富んでいて楽な気が……。
それはきっと思い込み。隣の芝生は青み見えるものなのです。
本屋の仕事がきついと言われる「まとめ」
- 基本的にずっと立ち仕事
- 本のつまった重たいダンボールを運ぶことがある
- 年に一度の棚卸しにおいて、長時間の中腰
以上三点が、現役書店員たえさんが実際に感じた「本屋の仕事がきついと言われる理由」です。
ただ、もちろん、きついだけじゃありませんよ♪
そうなんです。常に立ち仕事なのもきついんだと思います。
本屋で働くメリット
なんだかきつい仕事ばかりを書いてしまったので、フォローの意味でメリットも書いておきましょう(笑)
- 本に囲まれて仕事ができる(本好きにはたまらない)
- 新刊を買いそびれることがない
- 社割で本が買える
本に囲まれて仕事ができる
そもそも、私が書店に勤務しようと思ったのも、本が大好きだからです♪
一番最初に就職したいと思ったのも、地元の大きな書店でした。
それぐくらい、昔から本屋さんで働く、ということに興味があって、今念願かなったり、といったところです。
今は落ち着きましたが、勤めだした当初は、
「きゃああ✨ なにこの本! こんなのもあったの!? よし、買おう✨」
と、散財しまくった記憶があります(笑)
それぐらい、本好きには魅力的な職場だと思いますよ。
初期の頃の、たえさんが使った書籍購入費用金額は、記憶の彼方に消し飛ばせました♪←思い出すと怖い……
新刊を買いそびれることがない
例えば、とても大人気なシリーズなんかは、新刊が出るとなると、結構な量を入荷します。(それでも売り切れることがあったりするから凄い)
ですが、マニアックなコミックなんかは、新刊すら入ってこない場合もあります。酷い……。
そんな時は、自分でネットから注文し、取り寄せることができます。
もしくは、入荷するのが間違いなければ、開店からいるスタッフにお願いしておいて、取り置きしてもらうこともできます。
もっとも、当店だけのシステムかもしれませんので、ネットからの注文や取り置きは、社員さんなどに確認しましょう。
私はこのシステムのおかげで、今では自動で取り置いてくれるようになってます(笑)
「あ、これ、たえさんの好きな俳優さんが表紙だ。取り置きしておいてあげよう」
みたいな感じで(笑)
つい、先日も、朝のメンバーからLINEがやってきて、
「これって一巻、買ってませんでした? 二巻、取り置きます?」
という連絡が(笑)
ありがたいことです♪
ちなみに当店では、社員やパートなどは結構長い期間、取り置いてくれますので、とても有難いです。
社割で本が買える
どこのお店でもあると思うのですが、「社割」というシステムは素晴らしいですね✨
その割合にもよるとは思うのですが、少しでもあってくれれば、それだけで嬉しいものです。
当店でも、決められた割合の社割がありまして、それを利用すると結構お得にお買い物ができます。
特に、私みたいにたくさん本を買う人には、本当にありがたいシステムです。
ちなみに、私が副業としてもう一つ働いている先の、某ファーストフード店の社割率はとんでもなく高く、ありえない金額で食べられるので、本当にありがたいです♪
そんな風に、社割が利くものですから、より多くの本を買ってしまうんでしょうね(笑)
たえさんの家の寝室は、積読でいっぱいです。床抜けそう。
最後に
いかがでしたか?
書店によってはさまざまかもしれませんが、基本的なところはこんな流れではないかと思います。
もちろん、先ほどもお話したように、これ以外にもたくさんのお仕事があります。
ですが、最後に一言!
これです。
たえさんは、定年退職まで、ここで働く所存です♪
Originally posted 2022-09-14 16:27:11.
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