『セシルの女王』。バーリー男爵ウィリアム・セシルとエリザベス一世の物語

「セシルの女王」

どうも、たえさんです。

今日ご紹介したいのは、こちら!

いやあ、ぶっちゃけ。

たえさんは、この本が出た時に、その帯に注目しました。そして、即買いしちゃってました。

その帯には、

『ベルサイユのばら』池田理代子氏、推薦!

と書かれてありました。

そして、裏の帯を見ると、

『ベルサイユのばら』から50年。若い女性漫画家による本格的な歴史漫画の登場に、心躍るようです。

という、池田理代子先生のコメントがっ!!

「あ。買う!」

たえさんはそのまま、新刊だった一巻を手に持ち、購入したのです。

こんなに心躍ったの、とても久しぶりでした♪

『セシルの女王』の詳細

誇り高き女王と、ある忠臣の物語――開幕!

『ベルサイユのばら』池田理代子氏、推薦。

『あさひなぐ』のこざき亜衣が新たに挑む――新時代を築く、本格歴史ロマン!!

時は1533年、イングランド。

善悪の尺度も命の行方も不確かな時代に、明日を夢見る少年が居た。

ウィリアム・セシル、12歳。

王に仕えることで出世を目論む彼は、衣装担当宮内官である父に連れられ、初めて城へと登る。

しかしそこに君臨していたのは、暴虐な絶対君主・ヘンリー8世だった。

“ここでは人の優しさや寛容には必ず裏がある”

“誰かが誰かを、常に見張ってる”

横行する暴力と裏切り、派閥争いや不貞。

夢見ていた宮廷との差に落ち込んだ少年は、その夜、王妃アン・ブーリンと出会い、彼女のお腹の中の子……

未来の“王”に仕えることを誓うが――

実写映画化&舞台化も果たし、第60回小学館漫画賞一般向け部門を受賞した『あさひなぐ』、全34巻の完結から一年。

こざき亜衣が新たに挑むのは、近世イングランドを舞台とした本格歴史ロマン!!

「『ベルサイユのばら』から50年。若い女性漫画家による本格的な歴史漫画の登場に、心躍るようです。」(池田理代子氏)

これは、誇り高き女王と、彼女を支えたある忠臣の物語。

――さあ見届けよ、「彼女」と「彼」が築く、輝かしき【黄金の時代】を!!

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作者こざき亜衣
出版社小学館 ビッグコミックス
発行2022年3月30日
ISBN9784098612598
「セシルの女王」

実はたえさん「あさひなぐ」はまだ読んでません。
気になるので読みたくなってます♪

『セシルの女王』オススメポイント

中世イングランドイメージ
中世イングランド・イメージ
  • エリザベス一世とウィリアム・セシルの関係
  • 16世紀のイングランドが学べる
  • 圧倒的ストーリー展開

女性が描く女性は、強い!

エリザベス一世とウィリアム・セシルの関係

まず、エリザベス一世という名前なら、結構な人が記憶の片隅に残っているのではないでしょうか。

子どもの頃、歴史の授業で学んだと思うのです。

スペインの無敵艦隊に勝利したのは、どこの誰?

イングランドのエリザベス一世

といった具合に。

かなり有名なイングランドの女王様で、彼女の統治の頃は、まさにテューダー王朝の黄金期とされています。

そして、そんな女王を40年も支え続けたのが、ウィリアム・セシル。このコミックの主人公です。

物語は、セシルがまだ田舎者で純粋無垢な12歳の少年だった頃から始まります。

時代背景はというと、アニメ化にもなったヒットコミック『薔薇王の葬列』

の舞台、『ばら戦争』から半世紀ほど後の時代です。

この頃、まだまだ『ばら戦争』の爪痕に悩まされていたイングランドは、没落したりして消えていった貴族の代わりに、地方の地主などを『ジェントリ』とし、その地域を統治させていました。

主人公セシルの家も、もともとは農民の家系でしたが成り上がり、セシルの父親は王宮で、『衣装担当宮内官』という仕事をしている『ジェントリ』になりました。

まあ、田舎の小金持ち、そんな感じです。

セシルは12歳の頃、父親に連れられて、ヘンリー8世が統治する王宮に向かいます。

夢を抱いて向かった王宮で、セシルは様々な現実を知るのです。

セシルは王宮で、『女』として懸命に戦っている『アン・ブーリン』という王妃と出会います。

彼女は周りの人達から嫌われていましたが、女の闘いを真正面から受け止め頑張っている人でした。

とにかく男を産め、という状況の中、ベンリー8世との間に生まれたのは、女の子。

後のエリザベス一世、その人です。

ここからまた、セシルはアンの置かれている状況や、今の自分ではどうにもならない現実などを知ってしまいます。

やがて、ウィリアム・セシルはいったん王宮を離れなければならなくなります。

その別れの間際、彼はアンに誓うのです。

『俺がエリザベス様を、この国の女王にします』

と。

彼は学んだのです。

非力な自分。知識のない自分。

そんな自分では、現状を変えることはおろか、大切な人を守ることすらできないと。

2022年10月現在、発売されているコミック2巻で描かれているエリザベス一世とセシルとの関係は、ここまで。

これから十数年後。

テューダー王朝最後の女王となったエリザベス一世と、そこから40年にわたり、彼女を支え続けてきたウィリアム・セシルの物語が始まるのです。

2人の関係は、決して恋愛などというもので結ばれたものではありませんでした。

私は貴下を枢密顧問官及び国王秘書長官に任命する。私と王国のために全力を尽くすようこの勅語を与える。貴下は収賄・汚職にまみれることなく、国家に対して忠実であり、私の意思に反してでも最善と思う助言を与えてくれるであろう。私が内密に知るべきことがあれば、貴下は私だけに知らせるであろうし、私もそれをわが胸に秘めるであろう。

— エリザベス女王がハットフィールド・ハウスの大広間でセシルにかけた言葉

Wikipedia

これは、エリザベス一世が即位後すぐに、ウィリアム・セシルを国王秘書長官に任じた際、述べた勅語です。

これを見てもわかりますよね。

いかに女王がセシルを信頼していたか、ということが。

後世、ウィリアム・セシルという人物は、「日和見的なところもある」と評価されることがあります。

だけどそれは、この時代で生きていくために『心のすべてを、見せる必要はない』ということを、幼いころに学んだからかもしれません。

ウィリアム・セシルという人はきっと、「セシルの女王」での少年ウィリアムの頃に持っていた情熱をそのまま、エリザベス一世という女王に注ぎ続けた人ではないかと思います。

イングランドという国をよくするために。苦しんでいる女性たち(アン・ブーリンなど)が苦しむ必要がない国にするために。

その意志がずっと彼の根底にあったからこそ、40年ものあいだ、女王を支え続けられたのかもしれませんね。

ちなみに。

ウィリアム・セシルはエリザベス一世よりも早逝します。

エリザベス一世は、倒れたウィリアムに付き添ったり、亡くなった際には大声で泣き伏したり。

きっと2人は、男女の恋愛よりも数倍尊い絆で結ばれていたのでしょう。

もしかしたら、兄と妹のような関係性だったのかもしれませんね。

16世紀のイングランドが学べる

セシル地元
セシル家地元イメージ

たえさんは、歴女です。ええ、歴史大好きです。

しかし、実は、この物語の舞台となる16世紀のイングランドなどは、苦手とする部類にありました。

そもそも、たえさんが好きになる「歴史」の時代は、自分が読んだ本が舞台となっている時代だったりします。

古代エジプト「王家の紋章」「ファラオの墓」
古代ヒッタイト「王家の紋章」「天は赤い河のほとり」
フランス革命「ベルサイユのばら」
戦国時代「お市の方」←戦国女性シリーズ
幕末「あさぎ色の伝説」
中国三国時代「人形劇三国志」
たえさん「歴女」のきっかけ

だいたい、このあたりで固まっていたのですが、いやはや。

少し前に「薔薇王の葬列」(著・菅野文)で「ばら戦争」の成り行きを知り、ちょっとだけ興味を持っていたところへ、この「セシルの女王」です。

はまった……。はまってもうた……。

この15、16世紀のイングランドも、かなり複雑で面白いということが学べました。

正直、この頃のイングランドって、めちゃくちゃややこしいと思うんです。

いろんな王朝が入れ替わり、差し代わり。

だから苦手だったんですが、いやはや……。

なんて面白いの!

ただ普通に歴史を学ぼうとすると、難解なことも多々あると思うのですが、こうやって時代を舞台にしているコミックなどを読むと、スッと頭に入るから不思議ですね。

この15、16世紀あたりの歴史を知りたいと思った方、勉強したいと思った方なども、この「セシルの女王」はオススメかと思います。

ちなみに、エリザベス一世は、
「ばら戦争」で戦った両家の子孫になります。

圧倒的ストーリー展開

この作者さんの代表作「あさひなぐ」を、たえさんはまだ読んでいません。

ですから、この作者さんのお話を読むのは初めてになります。

いやはや、この作者さん、ストーリー展開もそうですが、画力もありますよね!

「あさひなぐ」の時はどうなのかわかりませんが、この大河ドラマみたいな展開の仕方、大好きです!

ストーリーの最中に入る、第三者視点からのナレーションのような文章が、この作品の、歴史ものとしての品格を出しているような気がします。

私は好きだなあ、こういうの。大好きです。

ストーリー展開も、とてもお上手ですよね。

結構足早に物語は進んでいると思うのですが、要所要所をきちんと押さえてくれているので、2人の歴史の、「取りこぼし」がないと感じさせてくれます。

登場人物も、実際にいた人、いなかった人、上手に絡み合わせています。

まるで『ベルサイユのばら』のように、違和感なく双方が溶け込んでいるいうか。

実在する人物に関しては、これもまた上手に登場させて、上手にセシルと絡ませています。

二巻では、セシルが勉学を学ぶケンブリッジ大学が出てきますが、そこで知り合った人たちも、実際にその時代に生きた人たちです。

特に感心したのは、……とと。これ以上は、現段階でするべきではないネタばれなので、ちょっと伏せますね。

とまぁ、そんな感じで、本当になんの違和感もなく様々な登場人物を絡ませていくなんて、本当にすごいと思いました。

今後の展開も、目が離せません!

歴史ものを歴史もの以上に描かれている気がします。

「セシルの女王」に似た雰囲気のコミック

たぶん、ここで紹介したもの以上にたくさんあるのでしょうが、たえさんが読んだことある作品を紹介します。

歴史もの、として秀逸でありながら、きちんとフィクション、ノンフィクションを上手に絡み合わせている、まさにたえさんが大好きなスタイルの歴史ものコミックたちです。

今回は、「セシルの女王」と同じく、ヨーロッパの歴史コミックを集めてみましたよ。

『薔薇王の葬列』菅野文

薔薇戦争イメージ
薔薇戦争イメージ

中世イングランド。白薔薇のヨークと赤薔薇のランカスターの両家が王位争奪を繰り返す薔薇戦争時代。ヨーク家の三男・リチャードにはある秘密があった。己を呪うリチャードは残酷な運命に導かれ、悪にも手を染めていくが……! ? ウィリアム・シェイクスピアの史劇「リチャード三世」を原案に描かれる禁断のダークファンタジー!

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先ほどから紹介しているように、この「セシルの女王」より半世紀ほど昔、「ばら戦争」の時代のイングランドを描いた作品です。

主人公は後のリチャード3世。彼の抱える複雑な身体的特徴などは、おそらくフィクションだと思いますが、これがまたストーリーの中でとても綺麗に描かれています。

物語自体は残酷な面もたくさんありますが、絵がキレイですし、ストーリーも頭に入りやすいと思います。

たえさんはこのコミックで「ばら戦争」を理解しました。

『ベルサイユのばら』池田理代子

ベルサイユ宮殿
ベルサイユ宮殿

類を見ない大ブームを巻き起こし今なお世界中の人々を魅了してやまない不朽の名作!フランス宮廷-そこは世界一華やかで贅沢さを競い合うセレブたちの憩いの場。時は18世紀、若き皇太子妃として、オーストリア・ハプスブルグ家よりマリー・アントワネットが嫁いでくる。皇太子夫妻を護衛するのは、男装の麗人・オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェで・・・。華麗な登場人物に導かれながら、ベルサイユを舞台にした情感あふれるストーリー展開にあなたも夢中になるはず!!身分を超え求め合う‘愛’、どんな逆境にもくじけない‘愛’をご堪能ください!!(第1巻)

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もはや説明など不要でしょう!

この『ベルばら』を知らないコミック関係者などは、もぐりとしか言いようがない、と言っても過言ではないぐらいの超名作ですよね。

私も子どもの頃に読んで、ドはまりしました。

こちらも、オスカル、アンドレの2人は架空の人物ですが、誰もが知るマリーアントワネットやフェルゼンと、違和感なく絡んでいます。素晴らしい!

たえさん宅には、大昔に出た、

こちらの愛蔵版を取り揃えております

これの後に出た、番外が詰め込まれたコミックも、もちろん購入済ですよ✨

たえさんはこちらで「フランス革命」について学びました。

最後に

たえさんが思うに、漫画家さんもそうですが、小説家さんや、果てはアニメを作る人、映画を作る人など、様々な分野で「歴史もの」って描かれていますよね。

それって、本当にすごいな、って思うわけです。

例えば、織田信長を描くそれらメディアの場合、信長の生涯って誰もが知る生涯ですよね。

幼い頃は傾奇者、斬新なやり口でメキメキ実力を伸ばし、本能寺の変で味方に裏切られて死ぬ。

この誰もが知っている話を、いかに面白く、そしてそれこそ斬新に描いていかなければならないわけです。

これは大変なことだと思いますよ。

この「セシルの女王」というお話も、これから先の流れは決まっています。

だけど、こざき先生の発想力で、アン・ブーリンという悪名高い王妃も見方を変えて素敵な女性になっています。

こんな風なアレンジが効かせられているお話って、きっとずっと飽きないんだろうな、と予感しています。

時々、ちょっとコメディータッチなところもあったりで、メリハリのついた展開に今後もとても大きな期待を寄せるたえさんでした。

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Originally posted 2022-10-03 14:57:53.

「セシルの女王」

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